2024/06/05

強度行動障害とは

強度行動障害とは

強度行動障害とは、「本人の健康を著しく損ねる行動」や「周囲の人々に著しい影響を及ぼす行動」が高い頻度で継続して起こり、特別な支援が必要な状態のことを言います。

子どもに「自分自身の体を叩く」「頭をぶつける」「他の人を叩いてしまう」「突然道路に飛び出してしまう」

といった行動がかなりの頻度と強度で継続的にみられる場合は「強度行動障害」に当てはまる可能性があります。

自分を傷つける「自傷」や他人や他人の物を傷つける等の「他害」「睡眠の乱れ」「異食」「ものを壊す」

などの周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動を著しく高い頻度で起こすため、特別な考慮された支援が必要です。

医学的な診断名ではなく、行政・福祉において必要な支援を判断をするために使用されています。

強度行動障害の具体的な行動とは?

・ひどい自傷

傷をつけたり、肉が見たり、頭部が変形するような叩き方をする、爪をはぐ等。

・強い他傷

噛みつき、蹴り、なぐり、髪ひき、頭突き、相手が怪我をしかねないような行動。

・激しいこだわり

強く指示しても、どうしても服を脱ぐなど、どうしても外出を拒む、何百メートルも離れた場所に戻り取りに行く、等の行動で止めきれないもの。

・激しいもの壊し

ガラス・家具・ドア・茶碗・椅子・眼鏡などを壊し、服を無理やり破いてしまう等の本人や他人にも危害が大きいもの。

・睡眠の大きな乱れ

昼夜が逆転してしまっている、ベッドにいれず人や人物に危害を加える。

・食事関係の強い障害

テーブルごとひっくり返す・食器ごと投げる・椅子に座っていられず、皆と一緒に食事できない。食べられないもの(石やおもちゃ)などを食べて体に異常をきたす等。

・排泄関係の強い障害

便を手でこねたり、便を投げたり、便を壁面に擦り付ける。強迫的に排尿排便行為を切り返すなど。

強度行動障害の原因

強度行動障害の行動は生まれつきのものではなく、子どもにある特性と周囲の環境や関わりとのミスマッチが大きいことによって現れるとされています。

コミュニケーションが苦手・強いこだわり・衝動性・感覚が過敏などの特性と、周囲の環境がうまく合わないことが強度行動障害につながっています。

強度行動障害の背景にある特性

知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)は、強度行動障害の背景となりやすいといわれています。

【知的障害やASDの特徴】

●社会性の特性

社会性の特性として「他者への関心が薄い」「他者の意図を察知するのが難しい」という人との関わりについての特性や

「周囲で起こっていることへの関心が薄い」「周囲から期待されていることの理解が難しい」など状況の理解が苦手。

●コミュニケーションの特性

コミュニケーションの特性として「話し言葉の理解が難しい」「あいまいな表現が苦手」といった理解に対する特性や、

「言葉で伝えるのが難しい」「誰に伝えたらいいのか分からない」といった発信に対する特性があります。

「状況に合わせた振る舞いが苦手」「表現や目線などの非言語的コミュニケーションの理解が難しい」という人とのやり取りが苦手。

●こだわりの特性

特性の刺激や活動に没頭し、切り替えることややめることが困難といった特性があります。また、「臨機応変な対応が苦手」「自分のやり方にこだわる。

●感覚の特性

「視覚・聴覚・味覚・触覚・臭覚」といった五感に対する過敏または鈍麻がある。

また前庭覚(重力や体の傾き、スピードなどを感じる感覚)に特有の感覚があります。

他にも特性として衝動性がある場合、感情のコントロールが難しく、突発的な飛び出しや奇声をあげるなどかんしゃくが起きることがあります。

強度行動障害」のある方への対応で大切なこと

強度行動障害は子どもの特性と周囲の環境のミスマッチが要因となっています。

そのため、子どもの生活環境や周囲のの関わり方を整えていくことが強度行動障害のある子どもにとって大切です。

人に対して叩いたり噛みついたりする行動に対して、叩き返す、身体でわからせる等の対応は虐待行為です。

また、自らの身体を傷つける自傷行為についても力ずくで抑えるだけでは上手くいきません。

このような謝った対応よって、行動障害がより悪化してしまう可能性があります。

厚生労働省「強度行動障害のある人を支えるための5つの原則」

①.安定して通える日中活動

②.住内の物理的構造化

③.ひとりで過ごせる活動

④.頑固としたスケジュール

⑤.移動手段の確保

が大事とされています。

強度行動障害のある子は、一定のルールや先の見通しがあると比較的落ち着くことが多いとされています。

①安定して通える日中活動

日中個別のスペースや決まった日課のある落ち着いて過ごせる場所があることが大事といわれています。

家庭で落ち着くことが難しい場合は、落ち着いて過ごせる場所に通うといいとされています。

またその場所で過ごしている最中は、強度行動障害のある方を一人にはせず、支援者などが配慮できる環境が必要です。

②居住内の物理的構造化

自宅など居住内の部屋の明るさや音の刺激を少なくする対策もあります。

強度行動障害のある方は環境からの刺激が多いと、それらがストレスとなって行動の問題が生じることもあります。

落ち着いて一人で過ごせる場所を用意することが予防や気持ちの安定につながります。

③ひとりで過ごせる活動

ひとりで過ごせる場所だけを用意しても、その場で何をしたらいいのか分からないと部屋から出てきてしまったり、

他の人を巻き込んで活動しようとして問題が悪化することもあります。

場所だけでなくひとりでできる活動も一緒に用意してあげると、本人も気持ちを

整えたり、楽しんだりでき、周囲の人たちも安心して見守ることができます。

④頑固としたスケジュール

強度行動障害のある子どものこだわりによる繰り返しの日課を家族が見守ることができていて、

予定の変更をする際は子どもが見通しを立てることができるような伝え方ができる状態のことです。

⑤移動手段の確保

日中活動などの外出時に、強度行動障害のある子どもにとって刺激や変化が少なく、安心できる移動手段が確保できている状態のことです。

強度行動障害のある子どもへの対応は家族だけでは難しい場合もあるので、障害福祉サービスを活用しながら対応していくといいでしょう。

子どもに強度行動障害がある場合の相談先の一つとして

東淀川区にあるこどもサポート教室オレンジがあります。

こちらでは強度行動障害のある子どもへの療育として、個別療育・サッカー療育・小集団療育・ソーシャル療育があります。

その子に合った個別指導計画を考えて親御様と相談しながら進めていきます。

療育を受けるにあたって、受給者証が必ず必要なので、まずは近隣の役所に支援相談してみるといいでしょう。

お子さまのお困ごと等お気軽にご相談ください。